市坂さんが使い手として遠慮なく言う。私がすぐ形にする。検体照合は、会議室で完成したのではなく、現場との往復で育ちました。
01 / FIELD PARTNER
「こうなったらいい」を、
遠慮なく言える人。
検体受付部門のリーダーだった市坂さんは、音声を使う検体照合の開発で大きな力を貸してくれました。 現場で実際に使い、操作感や使いにくさを、利用者の立場から率直に伝えてくれたのです。
「この機能は、こんなふうになったらいい」「こんな機能があったらいい」。 仕様書の言葉になる前の小さな違和感まで話してくれたから、システムは現場の手になじんでいきました。
02 / THIRTY MINUTES
早いものなら、
約30分後にリリース。
要望を聞いて、影響を見極め、実装して現場へ戻す。小さな改善なら、早いものでは約30分後に改訂版をリリースしていました。 時には、一日のうちに三回改訂したこともあります。
現場の要望 → 実装 → 改善版
最短 約30分時には一日3回の改訂速さそのものを競ったわけではありません。今日の作業で困っているなら、今日から楽にしたい。 IBM i / AS/400は、業務とシステムの距離をここまで短くできる道具でした。
03 / BESIDE THE USER
報告書に書かれない声は、
隣で聞こえる。
私自身も現場の隣で作業することがありました。そこで聞こえたのは、正式な改善要請ではなく、作業者の何気ないつぶやきです。 同じ照合を長く繰り返すと精神的に疲れ、ミスが起こりやすくなる。そんな実感も、隣にいたから拾えました。
画面のログは「何が起きたか」を教えてくれます。しかし、「なぜつらいのか」「どこで集中が切れるのか」は、 人の表情や手の動き、思わず漏れたひと言が教えてくれます。
利用者は、要件の提供者ではない。
一緒にシステムを育てる設計者である。
04 / TRUST LOOP
すぐ変わるから、
もっと言ってもらえる。
要望を伝えても何も変わらなければ、人はやがて言わなくなります。反対に、話したことが目の前の改善として返ってくれば、 小さな違和感も安心して話せるようになります。
約4億件を扱う処理が30分かかっていた問題も、市坂さんとの雑談から発覚しました。 「たきさんが作ったアプリにしては異様に遅い」。その感覚を言ってもらえる関係が、性能問題を見つけてくれたのです。
30分で直したのは、画面だけではない。
現場と開発の距離も、短くした。
CHAPTER 02 · EPISODE 08 / 09