きれいなデータだけで動く仕組みは作れます。しかし、現場は「右」「左」や手書きコメントまで含めて一つの仕事です。
01 / NON-STANDARD
試験管だけが、
検体ではない。
細菌検査や病理検査では、定型的な試験管だけでなく、さまざまな形の検体を扱います。 依頼書には患者名以外に、「右」「左」などの補足情報やコメントが書かれてくることもあります。
IDと種類だけが一致していても、確認に必要な情報が足りない場合がある。 画面上の項目だけに業務を合わせるのではなく、現場が判断に使う情報を残す必要がありました。
02 / SEE THE SOURCE
迷ったら、
依頼書そのものを見る。
そこで検体照合画面に、依頼書を照会する機能を持たせました。照合中に不明点があっても、 別の端末や紙を探し回らず、その場で元の依頼書を確認できます。
03 / LOGICAL DIFFERENCE
物理的には同じ。
システム上では別。
「負荷検査」とは、体に一定の刺激を与え、その前後の変化を時間を追って調べる検査です。 よく知られた例が、75gのブドウ糖液を飲んで行う経口ブドウ糖負荷試験。飲む前から飲んだ後まで採血し、 血糖値などの推移から、体がブドウ糖をどのように処理しているかを調べます。
私が扱った業務では、ブドウ糖の摂取前、摂取後30分・60分・90分・120分という採血時点がありました。 見たいのは一本の血糖値ではなく、時間の経過に伴う変化です。
- BEFORE摂取前0分
- AFTER30分摂取後
- AFTER60分摂取後
- AFTER90分摂取後
- AFTER120分摂取後
ところが、どの時点で採った血液も、物理的には同じ種類の血糖用試験管に入っています。 試験管の形や種類を見ただけでは、「摂取前」なのか「60分後」なのかを区別できません。
形も種類も同じ。現物だけを見れば違いが分かりにくい。
摂取前と各経過時間を、それぞれの依頼へ正しく紐付ける。
患者IDと検査項目が同じでも、採血した時点が違えば結果の意味は変わります。 同じ見た目の試験管を、時間という情報まで含めて間違いなく結ぶ——ここが臨床検査システムの腕の見せ所です。 この違いを安全に扱えるよう、負荷検査用の別画面を用意しました。
04 / THE WHOLE JOB
正常系ではなく、
仕事全体をシステム化する。
標準的なケースだけを速くしても、例外のたびに手作業へ戻れば、現場の負担と危険は残ります。 非定型検体、コメント、依頼書、負荷検査。それらを「特殊だから」と外へ追い出さず、同じ業務の中で扱いました。
例外を減らすのではない。
例外も迷わず扱えるようにする。
CHAPTER 02 · EPISODE 06 / 09